腰痛の改善を諦めてしまう心理「学習性無力感」
アメリカの心理学者セリグマンが発表した「学習性無力感」と言う心理学理論を知っていますか?
この理論は慢性腰痛の人の心理を良く表しています。
それは、動物実験に基づいた次のような理論です。
犬が入っているケージに電流を流します。すると感電した犬は一生懸命に逃げようとしたり、出してくれと訴えて吠えたりします。さらに電流を流し続けると、やがて犬は全く抵抗しなくなってしまう。ケージを取り払って外に逃げられる状況を作っても、動かなくなってしまうのです。
このように、努力しても解決しない状況が続いた結果、諦めて無気力になってしまう、そんな状態を「学習性無力感」と呼びます。腰痛患者にも同様なことが起こります。
慢性腰痛持ちの人は、整形外科を受診したり、整骨院、整体、鍼などに行ってみたり、腰に良いというエクササイズをしてみたりと、腰痛を少しでも良くしようと少なからず行動しています。
私も腰を痛めた最初の頃は、どうにか腰痛を治したいと思い病院に行ったり、整体や鍼、カイロプラクティックに通ったりと色々試しました。でも何をしても改善することはありませんでした。そんな状態が長く続いてくると腰痛があることが当たり前になってきてしまい、何をやっても改善は無理と腰痛を受け入れるようになりました。
まさに「学習性無力感」の状態でした。
一言でいえば「諦めている」のですが、腰痛の真っ只中にいたときには、腰痛から脱げる手立てが無いという、もがいてももがいても這い上がることができない蟻地獄に入り込んだような「仕方ない」「どうしようもない」という気持ちです。
「どこに行っても、何をやっても自分の腰痛は改善できない」という体験を繰り返していると、腰痛の改善を諦めてしまって抵抗しようという気力やエネルギーが無くなってしまいます。
腰に良いという情報を得たとしても、「どうせ自分には効かない」と改善のためのチャレンジさえしなくなってしまうのです。
学習性無力感に陥ってしまうと、ゲージに電流を流された犬と同じで、どうにもできない腰痛に対して白旗を降って降参しまうのです。