3ヶ月以上続く腰痛を慢性腰痛と言います。
どんな腰痛であっても、最初から慢性化しているということはありません。
だから、もしあなたが腰に痛みを感じているのなら、腰痛は慢性化しないうちに治し切るようにしてください。
なぜなら、腰痛は3ヶ月以上続くと慢性化してしまい、治りづらくなってしまうからです。
私は最初の対処が悪かったせいで慢性腰痛になってしまい、結局15年間腰痛に悩まされました。
あなたには、私と同じ思いはしてほしくないのです。
慢性化すると治りづらくなる3つの理由
慢性化してしまうと、なぜ腰痛は治りづらくなってしまうのでしょう?
大きくは4つの理由があります。
- 腰が悪い状態が定着してしまうから
- 腰をかばう動作が定着して筋肉が落ちてしまうから
- 痛みのストレスによる悪循環が起きてしまうから
多くの慢性腰痛患者さんは、これらの理由が1つだけではなくて絡み合っています。
以下で解説していきます。
1,腰が悪い状態が定着してしまうから
体には、今の状態を維持しようという力が備わっています。
このことを恒常性とかホメオスタシスと言います。
- 風邪をひいて熱が上がっても風邪が治れば平熱に戻ります
- 運動して心拍数が上がってもしばらくすると元に戻ります。
- 手を切ってもしばらくすると、血が止まるし傷も治ります。
このように、一時的に状態が変化したとしても、恒常性がはたらきいつもの状態に戻ります。
いつも健康な状態であれば、一時的に体が変化してもいつもの健康な状態に戻り「治った」ということができます。
しかし、3ヶ月以上健康ではない状態(不健康)が続くと、いつもの状態が不健康に変化してしまいます。
そのため体は、一時的に良い状態になったとしても、また不健康に戻るようになります。
腰痛の状態が3ヶ月以上続くと、戻るべきところが「腰痛状態」なので、
一時的に腰の痛くない状態になったとしても、また腰痛状態に戻ってしまいます。
ダイエットも恒常性が働くことで体重を元に戻そうと体が抵抗しているのです。
- いつもの状態が太った体なので、少し痩せてもいつもの体に戻る(リバウンド)
- いつもの体から変化させない(停滞期)
3ヶ月くらい同じ体重を維持すれば、ダイエット後の体重がいつもの体に定着してくれます。
腰痛も同じで、3ヶ月以上悪い状態を継続してしまうと、戻るべき体のゴールが悪い状態に定着してしまうのです。
2,腰をかばう動作が定着して筋肉が落ちてしまうから
骨折したとき、1ヶ月ほどの期間であってもギブスで固定して動かさないでいると、腕が一回り細くなり肘も伸びなくなるという経験を
している人もいると思います。
それは筋肉は使わないと衰え、関節の動きも固くなってしまうようになっているからです。
人は痛いときは、無意識に腰をかばうように動作します。
そのため腰が痛むときは安静にして動かないようにします。
動かなければならない場合は腰をかばいながら動作します。
かばわれている筋肉は使わないので落ち、代わりに働いている筋肉は使い過ぎになります。
かばう動きを3ヶ月以上続けると動き方が癖になってしまい、筋力や柔軟性は回復しないまま定着してしまいます。
恒常性です。
- 重いものを持つと痛む→重いものは持たない
→筋力低下 - 腰を捻ると痛む→捻らないで済むような体の使い方をします。
→捻りの柔軟性低下 - ぎっくり腰では、横になってエビのように丸まって動かない。
→筋力低下、柔軟性低下
動き自体を避けることができない場合は、腰への負担が小さくなるような体の使い方をします。
- 立ち上がるときに痛むなら、テーブルに手をつくことで腰への負担を小さくします。
→腕の負担が増えるので腕を痛める原因にも・・・ - コルセットを付けると楽なのは、腰がおこなうべきことをコルセットに代わりにさせるからです。
→筋力が低下してしまい、コルセットをしないと腰を安定できない体になってしまう - 腰痛の人の歩きかたに同じ特徴があるのも、その歩き方であれば腰への負担が減るからです。
→特徴的な歩き方の定着
筋肉が落ちてしまうと、自分の体も支えられなくなってしまいます。
上半身を支えることができず、前かがみの姿勢が取れなくなるかもしれません。
すると毎朝顔を洗うたびに、腰の痛みに悩まされるようになってしまいます。
慢性腰痛の方には、多かれ少なかれ必ず筋力低下があります。
弱った筋力を回復させるには、時間がかかります。
そのため腰痛は慢性化してしまうと回復に時間がかかってしまいます。
3,痛みのストレスによる悪循環が起きてしまうから
体には、ドーパミン、セロトニン、アドレナリンなど痛みを抑えるような働きをする脳内物質があります。
不安やストレスが長期間続くと、これらの痛みを抑える脳内物質は分泌が減ってしまい、同じ強さの痛みであっても強く感じやすくなってしまいます。
腰痛はストレスです。
- 動くたびに腰が痛い
- 思うように動けない
- 周りの人に迷惑をかける
- 病院に行っても原因がよく判らない
- ちょっと無理するとまた痛くなるかも
- 痛い日、痛くない日を繰り返すと、明日は大丈夫?と心配になる
- 湿布の買い置きあったっけ?
こんな毎日を続けていると脳内物質が減って、以前と同じ強さの痛みであっても強く感じるようになってしまいます。
痛い→ストレス→脳内物質が減る→もっと痛い→ストレス→脳内物質が減る→もっと痛い→
痛みの無限ループです。
悪循環をどこかで断ち切らないと、この悪循環は延々に続きます。
また、痛いとき人は呼吸を無意識に止めます。
注射をするときを思い出してみてください。針を刺す瞬間に息を止めているはずです。
息を止めると痛みは余計に強く感じます。
腕をつねって息を止めたときと、息を吐いたときとで痛さが変わります。
痛みで息を止めることで、無限ループが更に強化されます。
今の腰の痛みを慢性化させない
人には自然治癒力があって、腰の痛みも様子をみているうちに治ってしまうこともあります。
しかし、痛い期間が3ヶ月以上続いてしまうと、慢性腰痛になってしまいます。
ここで注意しないといけないのは、慢性腰痛と言っても腰がいつも痛いという訳ではないということです。
それは痛いときと痛くないときがあるということです。
(当然、かばっていたり、痛みが出る動作をおこなわなければ痛みはでません。)
痛みが出ていないときであっても、ただ痛みが出る条件が揃っていないだで腰の状態は良い状態では無いということです。
多くの人は痛みを感じなければ治ったと思います。
しかし、痛まないことと腰の状態はイコールでは無いということです。
私がそうであったように、そこを意識していないと3ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。
ホメオスタシスー元に戻そうとする力(3ヶ月はお試し期間)
- 3ヶ月以上で体が戻るべきゴールが変わってしまう
- ダイエットー停滞期、リバウンド
- 筋トレで筋肉がついたと実感するのは3ヶ月
かばう動作が定着してしまうから
- 人は無意識に痛みを避けるもの
- 使いすぎの筋肉と使わなすぎの筋肉が出てくる
- 使いすぎは筋肉疲労、使わなすぎは筋力低下
- 柔軟性の低下
- 動かし方の癖がついてしまう
- 捻挫してびっこを引いて歩くのは、そのときは最善の方法だが、捻挫がクセになるとびっこを引く歩き方も定着
腰痛の負のループに入ってしまうから
- 腰痛はストレス
- ストレスは痛みを感じにくくする脳内物質を減少させる
- 痛みの負のループ
痛い→脳内物質の減少→痛み強くなる→脳内物質の減少 - 痛いと呼吸が浅くなる
腰痛は再発の多い疾患だと言われるが、実は再発ではなくそもそも治し切っていない場合が多い。
- 腰痛を治しきるには、痛みが取れてからが勝負