話をよく聴きます
「口は一つだけど、耳は二つあるよね。話すよりも聞くことが大事なのは、体の作りからもそうなっているだよ」
整体の師匠からの教えです。
開業してから20年、今でも大切にいる言葉です。
私は腰痛を早く改善するためには、患者さんの話をよく聴くことが大切だと考えています。
ママが子供に話を聞くのと同じ気持ちで話を聞く
朝、小さな子供が起きてきて「お腹が痛い・・・」と言ったとしたら、
話も聞かずに「正露丸でも飲んどきなさい」とは言わないはずです。
あなただったとしたらどうしますか?
- 昨日は何食べたっけ?
- お腹を出して寝てなかったかな?
- 熱は無いかな?
- お腹のどこが痛いの?
- トイレには行った?
- 下痢はしていない?」
こんなふうに、昨日のことを思い起こしたり、子供から話を聞くのではないでしょうか。
そうして初めて正露丸を飲ませたり、消化の良い食事を取らせたり、
時には不安がる子供を抱きしめてあげたり、保育園を休ませたりといった対応をするはずです。
患者さんが何に困っているのかわからないから話を聴く
話を聞かないと、患者さんが何に困っているのかさえ分かりません。
例えばこんなことを聞きます。
- 具体的に腰のどこが痛いのか?
- 腰の右側?真ん中?左側?
- お尻に近い部分?それとも背中側? ・・・etc
- いつから痛いのか?
- 朝起きたら痛くて・・・
- 痛めたのは昨日だけど、10年以上前から腰が悪い
- 1ヶ月ほど前に痛めて、なかなか良くならない ・・・etc
- 痛めた原因は何なのか?
- 急に痛くなって原因が思い当たらない
- 運動不足かなぁ?
- 子供を抱っこしてから痛くて
- スポーツで頑張りすぎて
- 草むしりしていて立ち上がったら ・・・etc
- どういうときに痛いのか?
- 夕方になると腰が重くなる
- 立ち上がるときに腰が伸びない感じで
- 朝に痛むけど、少し動いていると楽にはなる ・・・etc
- 腰が痛くて何に困っているのか?
- 「抱っこ」とせがむ子供を抱き上げてあげられない。
- 長く座っていられなくて授業や仕事に集中できない。
- 家族や職場で周りの人に迷惑をかけている。 ・・・etc
- 以前に、大きな怪我や病気をしたことがありますか?
- 足首の捻挫をしたことがある
- 帝王切開で出産している ・・・etc
- 腰以外に気になることや、不調はあるのか?
- 慢性的に肩が凝っている
- 猫背で姿勢が悪い
- 気づくと反り腰になっている
- 運動不足で筋肉が少ない気がする
- 体が硬い ・・・etc
20分から30分は話をうかがいます。
ときには1時間近くかかってしまうこともあります。
患者さんも、話しをしていると以前の腰痛について思い出したり、気づきがあったりするようです。
気になるから聞く
初めて来院された患者さんからは、特によく話を聞くようにしています。
「お腹が痛い」では、胃が痛くても腸が痛くても、どこが痛くても腹痛です。
虫歯のせいで噛めなくて胃が悪くなっていれば、治すのは虫歯です。
胃薬を飲んでも痛みは繰り返します。
噛めるようになれば胃は良くなるはずです。
虫歯は患者さんに話を聞かないとわかりません。
腰の痛みも同じで「腰痛」と一言で言っても、人それぞれみんな違います。
改善のやり方も違います。
話を聴くのは手間も時間もかかります。
患者さんから話を聴くことは、手間も時間もかかります。
ときには患者さんが「しつこいなぁ」と感じているかも、と思うこともあります。
でも、良い施術をして早く腰痛を改善してあげるためには省くことはできないことだと私は考えています。
しかし、施術をしていく中でそれは必ず役に立ってきます。
患者さんも「このためにあんなに丁寧に話を聞いていたんだ」と納得してくれ、
逆に「よく話を聞いてくれる整体院だ」と言ってくださいます。
多くの整体院や整骨院では、これらの時間と手間を惜しんで、当たり前に「正露丸でも飲んどきな!」的な対応をしています。
今は完治させましたが、私は元慢性腰痛患者です。15年間腰の痛みに悩まされました。
整形外科で「腰が痛い」と言ったら「先にレントゲン取ってきてください」と、
話を聞いてくれないドクターに不安になった経験もしています。
道路を横断するときは「右見て、左を見て、もう一度右を見る」と左右を確認しないと渡れないように、
腰痛を改善するためには、患者さんの話を聞くことが必要だと考えています。